ぽ久しぶりです。えーるです。
皆さま、ピクミン4はもう遊びましたか?!
ぼくは初代の頃からのピクミンファンで、10年ぶりのナンバリング新作の発売に狂喜乱舞し、この2ヶ月間頭の中が全部ピクミンになるくらいどハマりしていました。
そんなピクミン4ですが、何度も遊んでいるうちにBGMに関するとある秘密に気づいたので、今回皆さまに共有したいと思います。
この記事が、皆さまがさらにピクミンの世界を楽しむための一助になることを願ってやみません。
【ピクミンとインタラクティブミュージック】
皆さま、ピクミンの魅力といえば何を思い浮かべるでしょうか?
可愛らしいキャラクターや残酷な世界観とのギャップなど、魅力を感じる部分は人それぞれいろいろあると思いますし、まだピクミンのこと全然知らないから分かんない!という方もいると思います。
そんな中、曲がりなりにもピクミン歴20年のぼくがピクミン最大の魅力だと思っているのは、なんと言ってもインタラクティブミュージック!!
インタラクティブミュージックというのは、簡単に言えばプレイヤーの操作や登場人物の行動に合わせて多彩に変化するゲーム音楽のことです。
有名なところだと、マリオでヨッシーに乗るとBGMにパーカッションが加わることなどが例として挙げられますね。
ポケモンのジムリーダー戦で、最後の1匹になるとBGMが変化することなども、このインタラクティブミュージックの一種であると言えるでしょう。
プレイヤーの行動次第で曲に変化を生み出す仕掛けはゲームの楽しさと没入感を高める上で非常に効果的であり、現在では様々なゲームでこのインタラクティブミュージックが取り入れられています。
ピクミンシリーズは初代からインタラクティブミュージックを積極的に使用しており、シリーズを通して敵に近づいたり、ピクミンで物を運んだりするとステージBGMが微妙に変化することはファンの間では有名です。
また、ピクミン2やピクミン3のボス戦BGMはボスの行動に合わせて曲が8種類以上に変化するという凄い仕掛けになっており、これは非常に高い評価を受けています。
そのような背景もあって、ぼくは「ピクミン4ではどんなインタラクティブミュージックが聴けるのだろう。」と期待に胸を躍らせながらピクミンとの冒険に出かけました。
【敵全員が音楽隊?!】
しかしながら、ぼくがピクミン4を始めて最初に思ったことは「BGMが地味!!」でした。
【参考】ステージ1ひだまりの庭のBGM
ピクミン4のステージBGMは、音楽というよりも環境音に近く、過去作のステージBGMとはかなり雰囲気が違うものでした。過去作のBGMに慣れた身からすると、ピクミン4のステージBGMはとても地味に聴こえていたのです。
そんな中で原生生物コチャッピーを発見。今までのピクミンなら、彼らに近づいて戦いを挑めば通常のステージBGMから敵接近BGMに変化するはずです。さっそく近づいてみましょう。
来ました来ました!敵の接近によるBGMの変化!コチャッピーに近づいた途端、ラッパのような音が加わったことが分かるでしょうか。これこそがぼくにとってのピクミン最大の醍醐味!
「よかった、ちょっとBGM地味だけど、ちゃんとこの要素はあるんだ!」そう思って探索を続けると、今度はブタドックリを発見!
お気づきでしょうか。さっきと少しBGMの変化が違います。ラッパではなく、弦を弾いたような音楽ですね。今までの作品では、敵接近時のBGMはあくまで1ステージにつき1種類だったはずです。「今作は敵接近BGMが2種類あるのかな?」そう思って今度はオタマに近づいてみると……。
また違う曲が流れました!!そう!!なんとこのピクミン4というゲーム、1種類や2種類どころではなく、100種類以上いる原生生物ほぼ全員が専用BGMを持っているのです!!
(一部共通のBGMを持つ生物もいるので厳密には100種類も無いと思いますが、まあここはインパクト重視で100種類と書かせてください😂)
中でもピクミンお馴染みの敵キャラでもあるチャッピーの専用BGMはちょっと凝っていて、寝ている間と起きている間で異なります。チャッピーが寝ている間はいびきのようなフレーズが流れ、起きた途端、獣の鳴き声のようなフレーズに切り替わっていることは分かりますでしょうか。
これら原生生物ごとの専用BGMはいずれも少数の楽器で演奏される短めなBGMなので、この記事内では他のBGMとの区別のため、以後「ミニマルBGM」という呼称で統一したいと思います。
ちなみに2種類以上の原生生物が同時に現れた場合、ちゃんと全員分のミニマルBGMが同時に流れます。これがまた複数の曲がちゃんと自然に噛み合うように作られていて凄い。
これはウジンコのミニマルBGM。ファミコンの電子音のようなピコピコした可愛い音ですね。(この時点で既に壁の向こうにいるチャッピーが寝ている時のミニマルBGMが小さく混じってますね。)
ここでとなりにいるチャッピーを起こしてみると……?
チャッピー(起きてる状態)とウジンコ、2種類のミニマルBGMが綺麗に混ざりました!
このように、ピクミン4ではプレイヤーが原生生物と出会うたびに違う曲が流れ、ステージBGMがどんどん変化していくのです。そう、つまりぼくたちはステージを探索しながら、みんなで音楽を演奏していたのです!ピクミン4はいわば、敵全員が小さな音楽隊であると言えるでしょう!!
最初にステージBGMが地味と書きましたが、それもそのはずでした。ピクミン4のステージBGMは、たくさんの原生生物達が演奏する個性豊かな曲が加わることを前提として作られているのです。
つまり、デフォルトではベースだけが流れているような状態で、様々な原生生物との出会いによって初めて曲が完成する仕掛けになっているのです。だからこそ、ステージBGM自体は環境音中心の静かなものが多く、どんなミニマルBGMとも組み合わせやすい構成になっているのではないでしょうか。
【ボス戦BGMは?】
ここまではいわゆる雑魚敵とステージBGMの話。それでは、アクションゲームの華とも言える、ボス敵との戦闘BGMはどうなっているのでしょうか。
もちろん、ボス敵たちも全員が固有のミニマルBGMを持っています!!しかし、ボス敵たちのミニマルBGM自体は雑魚敵のものと然程変わらない、コンパクトかつシンプルなもので、戦闘曲というにはいささか迫力不足です。
実はここにも、スタッフ達の驚くべき工夫が隠されていました!
まず、ピクミン4のボスBGMは、大きく分けて3種類の「基本BGM」があります。
・大ボス戦
・中ボス戦1
・中ボス戦2
これら3種類の基本BGMに、ボス敵ごとの専用ミニマルBGMを組み合わせることでボスとの戦闘BGMが作られています。
つまり、ピクミン4のボス曲は
3種類の基本BGM+ボスそれぞれのミニマルBGM
という2つの曲の組み合わせでできており、この組み合わせを変えることによって「似ているようで全然違う」20種類以上の戦闘曲を作り出すという、驚くべき仕掛けになっているのです。
(例外としてダマグモインフェルノ戦は、イントロこそ大ボス戦の基本BGMと同じですが、それ以外は完全に独立した正真正銘の完全専用BGMとなっています。なんという優遇ぶり。
)
3種類の基本BGMはいずれもボスらしい迫力ある曲になっています。しかしそれだけでは没個性的で、逆にミニマルBGMだけではボスとして迫力不足。どちらかが欠けても成立しません。基本BGMによって迫力を、そしてミニマルBGMによってボスの個性を相互に演出し合うという工夫がなされているのです。
この仕組みを解き明かすために参考にした興味深い生物として、
・けだもののゆりかご2階にいるハリアラシ
が挙げられます。実際に見てみましょう。
ハリアラシはれっきとした中ボスなのですが、このステージではなんと通常の雑魚敵としてウロチョロしています。ちょっと近づいてみましょう。
ハリアラシに近づいた途端、おもちゃの木琴のような、チョロチョロした可愛い音が聞こえ始めたことが分かるでしょうか。そう、これがハリアラシのミニマルBGMです。
ここでは中ボスとしての登場では無いので、ボスの基本BGMが抜けてミニマルBGMだけが流れているのです。このままではボス戦というには流石に迫力不足ですね。
それでは、ハリアラシがちゃんと中ボスとして登場するステージに行ってみましょう。
ドラムロールから始まる激しい打楽器の音!これが基本BGMの一つである、中ボス戦1のイントロです!よく聞いてみると、これにさっきのチョロチョロしたハリアラシ専用ミニマルBGMが重なっていることが分かると思います。
中ボス戦1+ハリアラシのミニマルBGM。これで中ボスとしてのハリアラシの戦闘BGMが完成するわけです。一気にボスらしい迫力が出ましたね!
今回は過度なネタバレ防止のため、体験版でも出てくるハリアラシのみを紹介しましたが、ピクミン4では以前中ボスとして出てきた敵が雑魚敵として登場したり、大ボスだった敵が中ボスになっていたりすることが多々あります。
そのため、基本BGM+専用ミニマルBGMの組み合わせで戦闘曲を作るという手法は、敵の個性を演出しつつ、その時の役割に応じて違った戦闘曲を与えることができるという点でも柔軟なシステムであると言えるでしょう。
【オリマー遭難記では?】
ここまで、ピクミン4の独特な音楽システムについて解説してきましたが、初代ピクミンのリブートとも言えるモード、オリマー遭難記ではどうでしょうか。
オリマー遭難記では、敵キャラごとのミニマルBGMというシステムは無くなっており、ステージBGMに過去作における敵接近BGMのフレーズがアレンジされて盛り込まれています。(とこなぎの浜辺のステージBGMに初代の大水源の敵接近BGMが混じっているなど。それ以外にも過去作ステージのBGMのワンフレーズが使われているところはかなり多いので、シリーズファンの方はじっくり聴いて探してみてください。)
また、ステージBGM自体もオリマー遭難記専用のものが使われています。これは原生生物達のミニマルBGMと組み合わせて完成する本編のステージBGMとは違い、従来の通り単体で完成された音楽になっており、シリーズファンにとってはこちらの方が耳に馴染むかもしれません。
ボス戦BGMも全ボス共通でピクミン2のボス戦アレンジが使用されています。
ただでさえ過去作のオマージュたっぷりなモードですが、BGMの雰囲気に関しても過去作を再現しているわけですね。
【まとめ】
まとめると、ピクミン4では原生生物1匹1匹が専用のミニマルBGMを持っていて、彼らに近づくたびにステージBGMやボス戦BGMに違った変化が生まれるという、とても面白い仕掛けが隠されていました。
実は、ぼくがこの記事を書いたきっかけの一つは、「ピクミン4の音楽は地味で印象に残りにくい。」という意見をたくさん目にしたからです。
実際ぼく自身も最初はそう思っていました。しかし、「原生生物との出会いによって次々とBGMに変化が生まれ、一見地味だったBGMが彩られていく。」という粋な演出に気づいたことで一気に見える景色が変わり、1人でも多くの方にこれを知ってほしいという思いで今回の記事を書きました。
今回は過度なネタバレ防止のため、体験版で出会える生物と、発売前に公式で登場することが発表されていた生物のみを例に出しましたが、他にもたくさんの原生生物が多種多様なミニマルBGMを持っています!
これからピクミン4を遊ぶ人も、2周目に挑戦する人も、冒険の途中で時々BGMの細かな変化に耳を傾けてみるというのはいかがでしょうか。よーく聞いてみないと気づかないような、小さな小さな変化ではありますが、きっとピクミンの世界での冒険をさらに豊かにしてくれるはずです。
今回はここまで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!
える虫